こんにちは!ジャズ部のちーこです。ジャズピアノ初心者がセッションを楽しめるようになる方法を紹介しています。
- 次は循環の曲をしよう!
- リズムチェンジの曲できますか?
セッションに少しなれてくるとこのような言葉を聞くことがあると思います。でも循環?リズムチェンジ?なんのことか分かりませんよね。実は循環の曲をマスターすれば他の曲でもアドリブがしやすくなります。
本記事では、循環の曲の基本的な仕組みから代表的な楽曲、実践的な練習方法まで詳しく解説します。この記事を読めば自分から「循環の曲を演奏しよう」といえるようになりますよ。
結論!循環=リズムチェンジ
循環の曲とリズムチェンジの曲は同じことなんです。日本だと「循環の曲」と呼ばれること多いです。
リズムチェンジ(循環の曲)とは1930年代のジャズスタンダード「I Got Rhythm」(ジョージ・ガーシュウィン作曲)に由来するコード進行を指します。
下記のような曲がセッションでよく演奏されます。
-
Anthropology” – Charlie Parker & Dizzy Gillespie
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“Oleo” – Sonny Rollins
循環の曲とは
ジャズセッションでは
- 循環の曲
- 逆循環でエンディングする
など循環という言葉がよく出てきます
循環といえば循環コード
ジャズでよく言われる循環=循環コードのことです
循環コードとは、I – VI – II – VやⅢ – VI – II – Vのような2~4小節からなる短いコード・パターンで永遠に循環してコードを繰り替えすことができるものを指します。
この進行は、特にジャズのスタンダードナンバーで頻出します。
循環の曲は循環コードが頻出する曲=リズムチェンジ
ジャズセッションでの循環の曲と言えば循環コードが頻出する曲。
代表曲がこちら
🎶 George Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン)作曲の「I Got Rhythm」(1930)
この曲、1930年に発表されて以来、ジャズスタンダードとして長年愛されている名曲。
当時のジャズミュージシャンたちは、「I Got Rhythm」の進行をベースにして、メロディだけを新しく書いてオリジナル曲を量産していました。
こういった曲は「I Got Rhythm」のメロディーをチェンジした曲ということで
リズムチェンジと呼ばれるようになりました
リズムチェンジの構造
基本的には、32小節のAABA形式です。
🔹 Aセクション(8小節×2)
I-VI-II-Vという超定番の循環コード(いわゆるツーファイブ進行)
例:
B♭maj7 – G7 – Cmin7 – F7
🔹 Bセクション(ブリッジ)
ドミナントセブンスの連続で、転調感が気持ちいい!
例:
D7 – G7 – C7 – F7
🔁 最後にAセクションに戻って1コーラス完成!
この進行、アドリブの練習や曲作りにも最適なんです。
🎺 なぜそんなに使われたの?
理由はシンプル。
-
親しみやすい進行だから
-
リズムとハーモニーのバランスが良いから
-
アドリブしやすいから
リズムチェンジが使われる代表的なジャズ曲
循環の曲(リズムチェンジ)はビバップ時代によく演奏され、ジャズの重要な基盤となっています。これらは全部、リズムチェンジのコード進行を元にした曲。
メロディは違っても、コード進行が同じだから、演奏者同士で即興セッションがしやすいんです。
循環の名曲をいくつか紹介します。
“I Got Rhythm”(作曲:ジョージ・ガーシュウィン)
リズムチェンジの元祖であり、コード進行の基本形。
“Oleo”(作曲:ソニー・ロリンズ)
リズムチェンジを基盤にしたビバップの代表曲。テンポが速く、即興力が試されます。
“Anthropology”(作曲:チャーリー・パーカー)
リズムチェンジに基づく複雑なテーマが特徴で、ビバップの練習に最適。
“Cotton Tail”(作曲:デューク・エリントン)
リズムチェンジを元にしたスウィング時代の名曲。
循環の曲の練習方法

循環の曲をマスターするにはコード進行を理解し、それを演奏に応用することが重要です。
- 基本のコード進行を繰り返す
- リズムのバリエーションを試す
- 右手と左手の練習を分ける
- テンポを徐々に上げる
基本のコード進行を繰り返す
「I Got Rhythm」、「Oleo」、「Anthropology」などセッションでよく演奏される曲のキーはB♭メジャーです。繰り返しコード進行を練習すれば一気に3曲マスターできます
まずはAセクションの進行を繰り返し練習します。
- Bbmaj7 – G7 – Cm7 – F7
- Bbmaj7 – G7 – Cm7 – F7
続いてBセクションを練習します。
- D7 – G7 – C7 – F7
- D7 – G7 – C7 – F7
全体の流れに慣れることで、即興演奏やテンポの変化にも対応できるようになります。
リズムのバリエーションを試す
同じコード進行でも、リズムに変化を加えることで多様な表現が可能です。
- スイングのリズムで演奏
- ラテンスタイルにアレンジ
- ファンキーなリズムを取り入れる
左手と右手の練習を分ける
- 左手: ウォーキングベースやルート音を弾く練習
- 右手: メロディやコードボイシングを練習
これにより、左右のバランスを保ちながら演奏できるようになります。
テンポを徐々に上げる
リズムチェンジの曲はテンポが速い場合が多いため、最初はゆっくり練習し、徐々にテンポを上げていくと効果的です。メトロノームを必ず使います※これが一番重要
コンピング
コンピング(comping)は、ジャズピアノにおける伴奏のスタイルであり、循環の曲の演奏においても重要な役割を果たします。
ここでは、循環の曲で効果的なコンピングの方法を解説します。
コンピングはとっても難しいのでこちらに詳しくまとめています。気になる方はこちらも併せてチェックしてみくださいね
コードボイシングを工夫する
循環の曲(リズムチェンジ)の進行では、コードボイシング(和音の配置)を工夫することで、演奏にダイナミクスや色彩感を加えることができます。
- シンプルなボイシング: ルートと3rd、7thを中心に配置
- 例: Bbmaj7 → Bb(左手)+ D, A(右手)
- テンションを活用: 9thや13thを加えたボイシング
- 例: Bbmaj7 → Bb(左手)+ D, F, A, C(右手)
ボイシングについて詳しくまとめた記事はこちらです。参考にしてみてくださいね
リズムパターンを変化させる
コンピングのリズムパターンを変えることで、ソロ演奏者やバンド全体に活気を与えられます。
- スイングの“裏拍”を強調する
- ストップタイム(特定の拍を省略して間を作る)を取り入れる
- シンコペーションを活用してフレーズを動的にする
間を大切にする
コンピングでは、音を詰めすぎず、間を活かすことでより洗練された伴奏になります。演奏者のソロを引き立てるために、必要最小限の音数でリズムをサポートすることを心がけましょう。
この間を取るってのがすごく難しいのですが、絶妙な間を取れるようになれば、ほかの人のソロを引き立てさらに自分も楽しめるという極上の時間を味わえるようになりますよ
リズムセクションとの対話を意識する
コンピングはソロ演奏者やリズムセクションとの対話です。
- ドラマーのハイハットやスネアに合わせたタイミングでコードを鳴らす
- ベースラインの動きを聞き取りながらコンピングを調整する
アドリブ
アドリブで循環(リズムチェンジ)のコード進行を活用するには、以下のポイントを押さえましょう。
- コードトーンを利用
- スケールと活用
- アプローチノートを利用
- メロディーフェイク
コードトーンを優先する
循環コードは大きな転調部分がなく基本的に1曲全体がB♭メジャーキー。
コード進行の構成音(ルート、3rd、5th、7th)を中心にフレーズを組み立てることで、簡単にアドリブできます
スケールを活用する
循環の曲のほとんどがB♭メジャーキーなので、B♭メジャースケールを使ってフレーズを作ればアドリブできます
少し物足りないなと感じたらオルタードスケールなど他のスケールも使ってみます
- Bbmaj7: Bbメジャースケール
- G7: Gミクソリディアン、Gオルタード
- Cm7: Cドリアン
- F7: Fミクソリディアン
クロマチックアプローチなどのアプローチノート
コードトーンに至る前の半音階(アプローチノート)を利用します。
簡単に、ジャズっぽいフレーズを作ことができます。
メロディーフェイク
曲のテーマ(メロディ)の一部をアレンジして即興に取り入れることで、一貫性を保ちながら独自性を発揮できます。
他の曲にも活かせる!
リズムチェンジ(循環の曲)は演奏できるようになると、循環コードが出てくるスタンダード曲のアドリブがしやすくなります
特にエンディングで逆循環で終わるような曲のフレーズづくりが簡単になります。
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循環コードが使われる代表的なジャズ曲
循環コードを基盤にして構成されたジャズの名曲は数多く存在します。以下にその一部を紹介します。
There Will Never Be Another You– 最後の3小節にI-VI-II-Vの進行が展開される
Just Friends – コード進行の中でI-VI-II-Vが自然に出てくる
You’d Be So Nice to Come Home To – II-V-Iが繰り返され、I-VI-II-Vも見られる
It Could Happen to You – 最後の2小節でI-VI-II-Vの進行が展開される
まとめ
リズムチェンジ(循環の曲)とは循環コートが頻出する
「I Got Rhythm」(ジョージ・ガーシュウィン作曲)に由来するコード進行から作られた曲のこと。
循環コードはジャズスタンダードにも出てくるので、マスターできれば様々な曲でコンピングやアドリブが上手くできるようになります
是非セッションの時に「次は循環の曲で」と言えるように練習してみてくださいね
最後までご覧いただきありがとうございました!
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