ボサノバは、ブラジル発祥の洗練されたグルーヴが魅力のスタイル。ジャズと融合した「ボサノバ・ジャズ」はセッションでも人気のレパートリーです。この記事では、ジャズピアノ初心者に向けてボサノバ演奏のコツをまとめました。
結論!
ジャズのボサノバのピアノ・ベース・ドラムの基本リズムはこんな感じ。
ピアノは隙間を重視してアントニオ・カルロス・ジョビン作曲のものは2小節を1まとまりにして、4拍でとらえるイメージで演奏するとうまくいきやすい
ジャズのボサノバとは?
セッションでもよく演奏されるボサノバについて下記にまとめました
- ボサノバは1950年代末、ブラジルでサンバとジャズの要素を融合して生まれた。
- ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンが中心人物。
- ジャズミュージシャンが取り入れたことで国際的に有名に。
- 今でもボサノバはジャズのスタンダードとして多く演奏されている。
ボサノバの歴史
ボサノバ(Bossa Nova)は、1950年代後半にブラジルで誕生した音楽ジャンルです。
「Bossa」はスラングで「センス」や「特別なやり方」を意味し、「Nova」は「新しい」という意味。つまり「新しい感覚」というニュアンスを持っています。
ボサノバ誕生の背景
1950年代のブラジルでは、サンバという伝統的なリズムが主流でした。ただ、若い音楽家たちは、もっと都会的で、洗練されたサウンドを求め始めます。そこで生まれたのが、「ボサノバ」。サンバにジャズのハーモニーやコード進行を取り入れた、より軽やかで静かなスタイルです。
主要な人物
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ジョアン・ジルベルト(João Gilberto)
ボサノバの「父」と呼ばれるギタリスト&シンガー。彼のギターのリズムと、ささやくような歌い方が、ボサノバのスタイルを確立しました。 -
アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)
作曲家・ピアニスト。代表曲「イパネマの娘(The Girl from Ipanema)」をはじめ、多くのボサノバ名曲を生み出しました。 -
ヴィニシウス・ヂ・モライス(Vinicius de Moraes)
詩人・作詞家。ボサノバの歌詞に、都会的でロマンチックな世界観を持ち込んだ人です。
ジャズとの関係
ボサノバは、その洗練されたコード進行や即興性がジャズミュージシャンにとても魅力的に映りました。
1960年代、アメリカではスタン・ゲッツ(Stan Getz)などのジャズサックス奏者がボサノバに注目し、ブラジルのミュージシャンと共演。
有名なのが
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アルバム『Getz/Gilberto』(1964年)
→「イパネマの娘」が大ヒットし、ボサノバが世界中に広がります!
この頃から「ジャズ・ボサノバ(Jazz Bossa Nova)」というジャンルも生まれ、両者はお互いに影響を与え合いました。
セッションでのボサノバの種類に注意
セッションでよく次はボサノバをしよう!
ってなることがあるのですが、その時のボサノバに2種類あります
1つは王道のボサノバともうひとつは4ビートでよく演奏される曲をボサノバのノリにしたもの
です
セッションではどちらもボサノバと呼ばれますが、ノリが違うので演奏する時に注意が必要です
王道のボサノバ
セッションで「ボサノバ」といえば下記のような曲。
- “The Girl from Ipanema”(イパネマの娘) – Antonio Carlos Jobim作曲
- “Wave” – Antonio Carlos Jobim作曲
- “Desafinado”(ジサフィナード) – Antonio Carlos Jobim作曲
- “Corcovado”(Quiet Nights of Quiet Stars) – Antonio Carlos Jobim作曲
- “Triste” – Antonio Carlos Jobim作曲
- “Chega de Saudade”(ノー・モア・ブルース) – Antonio Carlos Jobim作曲
- “One Note Samba”(ワン・ノート・サンバ) – Antonio Carlos Jobim作曲
ボサノバのいえばアントニオ・カルロ・スジョビンの作曲のものと覚えていれば大丈夫。は軽くて柔らかくテンポが遅いイメージ。
2小節を1まとまりにして、4拍でとらえるイメージ。ベースが2分音符で動いています。


ブルーボッサはボサとついていますが4ビートをラテン系にしたような、ゆったりとしたボサノバと対照的に少しガチャガチャとしたイメージになります
4ビートでよく演奏される曲をボサノバにする時
実はセッションでよく下記の4ビートでよく演奏される曲をボサノバで演奏する時があります
- Autumn Leaves
- Days of Wine and Roses
- Fly Me to the Moon
王道ボサノバとは異なり、1小節の中の4拍を均一に刻むイメージ。ベースが4分音符で動いています
ノリはラテンっぽくなります

3連符の最初の2音がタイでつながったような4ビート(スウィング)ではなく4分音符を均一に刻みます


セッションでよく演奏するブルーボッサもこちらのノリで演奏されます
ピアノの演奏のポイント
このセッションで呼ばれる2種類のボサノバのノリに注意しながら、ピアノでの演奏のポイントについて解説します
イントロ
自分が出したグルーヴがセッション全体のノリになるので、イントロはかなり重要。
イントロはピアニストの仕事なのでマスターしましょう
ボサノバのイントロはいろいろありますが、初心者は半音上を行ったり来たりするイントロで十分。
Fキーの曲なら下記のような感じのイントロを弾きます

4ビートのものと王道のものとのノリに注意しながら、
半音上がったり下がったりするだけの簡単なものでもボサノバのいい感じのノリで出すのがかなり難しいです
リズムの刻み方
ピアノでの演奏はとにかくゆったりと音数は少なめにして、空間を活かすことが大切。
ところどころにバチーダを入れる
セッションではギタリストがカッティング的役割を担います。ピアノは極力音数を押さえて全音符や2分音符で隙間を埋めていく感じになります
ギタリストがいない場合はピアノがギターの代わりにバチーダと呼ばれるバッキングパターンを演奏してもいいのですが、初心者が演奏するとただただうるさいだけになるので注意が必要です

曲のところどころにバチーダを入れるとアクセントになっていいかもしれません
左手で2拍4拍のルート(または5度)を、右手でシンコペーションしたコードを軽やかに刻みます。
王道ボサノバ
2小節を1まとまりにして、4拍でとらえるイメージ
の王道のボサノバの場合、ギターがいるいないにかかわらず、リズムはベースとドラムに任せて
ピアノはコードを鳴らして隙間を埋めていくっていうのが一番美しい形かなと思います

4ビートの曲のボサノバ
4ビートの曲は1小節を4拍の刻むイメージで、ゆったりと隙間を埋めていきます
王道ボサノバとあまり変わらないのですが、1小節ごとに4拍をとらえているか2小節ごとに4拍をとらえているかでノリが変わってきます
それがバッキング(コンピング)にも出てしまうのです

アドリブのヒント
4ビートの曲をボサノバにしたものは、リズムさえ注意すればアドリブはそこまで難しくないです。
一方王道のボサノバは、コードが割と複雑なものが多く結構難しい
コツはセブンスコードのところでテンションを利用したフレーズを弾きます
何も思い浮かばない時は下記のようなテンションを半音ずつさ下げて弾くだけでもなんとかしのげることがあります
9th →9♭th →ルート
5th →11♯th→ 4th
13th→13♭th→5th
最後に
ボサノバは「音を詰めない勇気」と「リズムの余白」がポイント。セッションでは、お互いの音を聴き合いながら呼吸するように演奏することで、シンプルな構成でもグッと味のある演奏になります。
最後までご覧いただきありがとうございました
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