こんにちは! ジャズ部のチーコです。ジャズ部ではジャズピアノ初心者がセッションで楽しめるようになる方法を紹介しています。
- ジャズピアノを上達させたい
- ジャズピアノを独学で勉強しているが行き詰っている
今回は、バラードの名曲 「Misty」 をどんな編成でも美しく演奏できるようになるための“実践攻略ガイド”をお届けします。
ボーカルとの共演、ピアノトリオ、サックス入りクインテットなど、現場で想定されるすべてのシチュエーションに対応できる内容です。
結論!上達させる流れ
セッションで演奏するための流れはこんな感じ
1. コード譜を手に入れて軽く分析(黒本にはのってないこともある)
2. 実際に演奏して自分の演奏を録音。できないところを明確にする
3.可能であればプロに演奏をきいてもらって、アドバイスをもらう
なぜ “Misty” はジャズピアノ学習にもおすすめか
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“Misty” はバラード調の名スタンダードで、曲のメロディの美しさ、和音の響きの豊かさ、そして感情表現の幅広さが魅力。ピアノひとつで「歌心」と「ハーモニー感」を鍛えるのに最適。
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歌もの(ボーカル)からインストまで、さまざまな編成で演奏されやすく、「どの場面でも対応できる」柔軟性がある。
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メロディの豊かさ・和音の流れ(特にテンション、コードの色付けなど)を学べるので、コード理解、コンピング、伴奏、美しい和声感覚を磨く格好の教材になる。
Misty” を通して身につくジャズのスキル
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歌心(メロディの歌わせ方):メロディを丁寧に歌うことで、バラードのニュアンス、 “間” の取り方が身につく。
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和声感とテンションの感覚:コードに色をつけることで和声の響き、ムードのコントロールができるようになる。
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コンピング/伴奏力:ボーカルや他楽器を支える役割を経験することで、アンサンブル力がアップ。
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ダイナミクスと空間感:音量、ペダル、タイミング、間。 “空気を演奏する” 感覚を掴める。
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応用力:バラードが弾ければ、ほかのテンポ・スタイルの曲にも応用しやすくなる。
ミスティー楽曲の歴史や背景
「ミスティ」は、ジャズピアニスト エロール・ガーナー(Erroll Garner) が作曲した、しっとりとしたバラードの名曲です。
ガーナー特有のロマンチックで温かいメロディは、まるで霧(mist)の中にいるように包み込む雰囲気から “Misty” と名づけられました。
誕生:1954年・エロール・ガーナーの即興から生まれた名曲
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作曲:1954年
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作曲者:Erroll Garner(エロール・ガーナー)
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きっかけ:ガーナーが飛行機に乗っているときに、窓の外の景色からインスピレーションを受けてその場で口ずさんだメロディが原型と言われています。
ガーナーは楽譜が読めませんでしたが、信じられないほど豊かな音楽性を持ち、「ミスティ」は彼の代表曲となりました。
歌として広まったきっかけ:ジョニー・マティスの大ヒット(1959年)
元々はピアノ曲でしたが、
作詞家 ジョニー・バーク(Johnny Burke) により歌詞が付けられ、
歌手 ジョニー・マティス(Johnny Mathis) が1959年に録音。
これが大ヒットし、世界的なスタンダード曲として一気に知名度が広まりました。
ジャズの定番曲へ — 多くの名演が生まれる
「Misty」はその後、多くのジャズミュージシャンによって演奏され、
とくにバラード演奏の代表格として定着しました。
主な名演:
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エロール・ガーナー(オリジナル)
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サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)
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エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)
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スタン・ゲッツ
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オスカー・ピーターソン
バラードとしてはもちろん、スウィングやラテンアレンジなど変化も豊富で、セッションでも非常に親しまれています。
映画「恐怖のメロディ」でさらに有名に(1971年)
クリント・イーストウッド主演の映画 「Play Misty for Me(恐怖のメロディ)」 の重要な曲として使われ、物語の鍵となる存在感を放ちました。
この映画により、一般にも広く知られる名曲へと成長しました。
楽曲分析
コード譜を手に入れる必要があるのですが、なんとミスティーは黒本に載ってないことが多いので(改訂版の黒本2にはのっています)自分で耳コピーで採譜してコードを付けるか、「iReal Pro」アプリを利用します
コード進行の把握
曲の構造はA-B-A

コード進行分析
Cメジャーキーの場合で解説しますね!
A部分の転調は部分的にFメジャーキーへ転調。※1と※2はドミナントモーションや借用和音や代理コードが入った一部分転調といった感じですが、大きく分けるとCメジャーキーとFメジャーキーを行ったり来たりしている感じです。
B部分の最初の4小節はFメジャーキー。後半4小節はFから半音上に上がって突然Eマイナーキーへ転調して、ドミナントモーション(5度下降進行)でCキーに戻るという形。
ここがアドリブでもちょっと難しく感じる部分になります。

※1の解釈はA7はDm7へ進行するセカンダリードミナントコード。そしてE7はさらにドミナントモーションのパワーを上げるためEm7が変化したものととらえる。
※2の解釈は代理コードや借用和音を使ったもので、音楽理論の中でも理解が難しいところ。要するにCメジャーキーからみてFm7とB♭7はダイアトニックコードにはないもの。同主調であるCマイナーキーのダイアトニックコードであるFmとB♭7から借りてきたコードと解釈。
Cマイナーが出てこないのでこのB♭7はFmの代理コードと解釈するのがベターかなと思います
実践アプローチ:イントロ/コンピング/アドリブ/エンディング
実際に上達させるには自分の演奏を録音して聴くこと。これにつきます。何ができて何ができていないかをプロの演奏を比較して修正していきます。
【ジャズピアノ初心者が挫折しない】まずは聴いて感動体験!つらいやめたいと思ったら読んでみてください
ここではちーこなりにイントロからエンディングまでをざっくりと解説していきます。名演を聴いて難しすぎると感じたら参考にしてみてください。
イントロ

ほかにも最後の4小節を弾いたパターン。

AmのところをA7にすると曲の雰囲気が出やすいかも。またG7のところで♭9のテンションを入れるとさらに雰囲気アップ
CM7とA7でG音のペダルポイントを利用してより雰囲気がアップします。
コンピング・ボイシング
コードを刻むタイミング、リズムの取り方、テンションの使い方で雰囲気を操作。空間を大切に。
コードがまだしっかり覚えていない場合は2分音符でコード音を伸ばすだけでも立派なコンピングです。バラードは音を間違えるとかなり目立つので音を間違えずにタイミングに合わせて弾くだけでOK!
慣れてきたらテンションを入れたり、ペダルポイントを入れたり、クリシェを入れたりと工夫してみるとさらにかっこよくなりますよ!
アドリブ
メロディの延長または詩的なフレーズを。バラードでは “音数多すぎず”、一音ずつ選んで歌うように。
和声感を意識して、テンションやコードの転換で “感情の動き” を描く。バラードのアドリブは難しくてちーこも研究中。ゆっくりと進むので音のごまかしがきかないという点が難しいですよね
基本の音選びは下記のアドリブする方法をまとめた記事があるのでチェックしてみてくださいね
エンディング
ミスティーのエンディングは逆循環で終わることが多いです。
逆循環は
循環コードC Am7 Dm7 G7を
Dm7 G7 C Am7 と始めたもの。ちーこもこの違いに混乱してしまいますが
要は最後のG7が来た時にCに戻らずに Em7 へいって Am7 Dm7 G7
まだ続くようならEm7 Am7 Dm7 G7 を繰り返し
最後にCのトニックで終了という形です
簡単に譜面にしてみました。こんなイメージで音を追加して使ってみてください。

Fm(ブドミナントマイナー)を経由して最後に両手でCを弾くという形にするといい感じに終われます。
【ジャズの終わり方】ジャズピアノ初心者がエンディングする時!悩ましい最後の音まで解説!
スタイル別ピアノの役割と弾き方
一通り弾けるようになったら一度はプロにならってみるのがおすすめです。ピアノトリオなのかボーカル、管楽器など他の楽器と演奏するかなど編成によっても弾き方が異なります。
ここら辺のニュアンスはプロに習ってみないと分からないかなと思います
また上達するには人に聞いてもらって評価をもらうのが近道。もちろんプロの演奏と聴き比べて自分で足りないところを補えば独学でもできるかなと思いますが、どうしても息詰まる時がきます。
習うことのすばらしさをこちらの記事で紹介しているので是非ご覧くださいね
【ジャズピアノオンラインレッスン】初心者は一流アーティストから1度は習ってみよう!
ざっくりとジャンル別の演奏の仕方を紹介します
ボーカル入りバージョンでのピアノ
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主な役割:歌を支える “伴奏” 。メロディはボーカルが担うので、ピアノは和声とリズム、そして歌のムードを支える。
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ポイント:歌が聴きやすいように、和音はジャズ的なテンションを抑えめに、しかしムードを壊さずに。ペダルや音の伸ばし、コードの抑え方で “浮遊感” や “空気” を演出。イントロや間奏では、軽く “テーマの要素” を入れて雰囲気をセット。
ピアノトリオでの演奏
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役割:メロディ(ピアノ) + ベース・ドラムによるリズム/ハーモニー補助 + 空氣作り。
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ポイント:メロディを美しく「歌う」ことを意識。特に “Misty” のようなバラードでは歌心が命。ベースとドラムの空間を尊重しつつ、コードのテンションや色彩でムードを築く。ときには “間” を大切に。音を詰めすぎず、余白を使うことで曲の情感が増す。
サックスやトランペット入りクインテットなど複数楽器編成でのピアノ
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役割:ハーモニーの土台、コンピング、楽器間のバランス調整、ソロのサポート。
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ポイント:他楽器のメロディ/ソロを邪魔しないように、コードのボイシングはシンプル〜中くらいにして、他楽器を引き立てる。インタープレイ(他楽器との対話)を意識。ソロ中のコード/コンピングはムードの維持にも貢献。
まとめ
“Misty” はただ美しいメロディを楽しむだけでなく、ピアノという楽器で「歌心」「ムード」「和声」「空気感」を深く学べる曲です。
ソロ、ピアノトリオ、ボーカルあり、またはクインテットなど様々な編成で演奏機会も多く、「どんな場面でも対応できる/活躍できる」万能なジャズ・バラード。
初めてチャレンジする人には、まず「メロディを歌うように/和音を感じるように」丁寧に演奏することをおすすめします。
そして慣れてきたら少しずつテンションやボイシングを工夫して、あなたらしい“Misty” を作ってください。


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