こんにちは!ジャズ部のちーこです。
ジャズの勉強をしていると、「好きなピアニストのフレーズを耳コピーして覚える」という練習をすることがありますよね。
私も、ジャズの名演を聴きながら、気に入ったフレーズをコピーしてきました。
でも、ここでひとつ疑問が生まれます。
「耳コピーしたフレーズを覚えたけれど、実際のジャズセッションではどうやって使えばいいの?」
せっかく時間をかけて覚えたフレーズも、演奏の中で活かせなければ、少しもったいない気がします。
特にジャズは即興音楽。
その場にいるメンバーと音を聴き合いながら、みんなで音楽をつくっていくことがセッションの楽しさです。
コピーしたフレーズを、まるで発表会のように「覚えたものを披露する」だけでは、セッションの醍醐味を十分に味わえないかもしれません。
では、耳コピーしたフレーズを、どのように自分の音楽へとつなげていけばいいのでしょうか?
今回は、ビル・エヴァンスの演奏で知られる「Star Eyes(スター・アイズ)」のコピーを例に、フレーズを分析し、ほかの曲や即興演奏に活かしていく方法を紹介します。
耳コピーの目的は「覚えること」ではなく「音楽の中で使えるようになること」

耳コピーの目的は、コピーしたフレーズをそのまま再現できるようになることだけではありません。
大切なのは、そこからフレーズの仕組みを学び、自分の演奏の中で自由に使えるようになること。
最初は誰かの演奏をまねることから始まっても、練習を重ねるうちに、そのフレーズが自分の中の音楽語彙として育っていきます。
では、具体的にどのような練習をすればよいのでしょうか?
ざっくりとまとめるとこんなかんじです。
①コピーしたフレーズを書き出す
②Cキーなどに移調する
③コード進行と音の関係を分析する
⓸ほかの曲の似たコード進行で試す
⑤同じ音でリズムを変える
⑥同じリズムで音を変える
① 耳コピーしたフレーズを書き出す

まずは、コピーしたフレーズを楽譜などに書き出してみましょう。
音を聴いて覚えるだけでなく、実際に書き出すことで、音の動きやリズムを目で確認できます。
耳コピーの具体的な方法については、過去記事で紹介していますので、そちらも参考にしてくださいね。
コピーしたフレーズ
今回はビル・エバンスのドキュメンタリー『ユニバーサルマインド』でエバンスがソロで弾いているスターアイズのこの部分をざっくりとコピーしました。
コピーした理由は単にコードに対しての音使いがかっこいいと感じたからです。また、このフレーズでエバンスのまゆ毛がぴくっと動いて、「おおこれはいいフレーズでてきた」という表情に見えたからです。

② フレーズを移調する|まずはCキーがおすすめ

次に、コピーしたフレーズを別のキーに移調してみます。
おすすめは、まずCキーに移調すること。

Cキーにすると音の関係が確認しやすくなり、フレーズの仕組みを分析する練習にもつながります。
ただし、Cキーで弾けるようになることがゴールではありません。
最終的には、さまざまなキーで演奏できるようにしていきましょう。
③ コード進行と音の関係を分析する

ここが、耳コピーを自分の音楽に活かすための大切なポイントです。
コピーしたフレーズを、ただ「この音を弾いている」と覚えるのではなく、
「なぜこのコード進行で、この音が使われているのだろう?」
と考えてみます。
例えば、C7のコード上で演奏されているフレーズなら、
- C7のコードに対して、どのような音が使われているのか
- コードの構成音やテンションはどのように含まれているのか
- どのコード進行の中で、その音やフレーズが登場しているのか
- フレーズの始まりと終わりは、コードに対してどんな関係になっているのか
こうした視点で分析していきます。
今回抜き出したフレーズを分析してみると、曲のツーファイブのところで使われており、さらにテンションが多く使われていることがわかります。

一見するとアボイドノートととれるところも、1オクターブ高い半音違いのテンションに解決したような形になっており、音使いがかっこいいなと改めて感じました。
大切なのは、フレーズを丸ごと暗記するだけでなく、音とコードの関係を理解することです。
そうすると、別の曲で似たコード進行が出てきたときにも、コピーしたフレーズを応用するヒントが見つかります。
コード進行分析についてはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
④ ほかの曲の同じようなコード進行で使ってみる

フレーズの分析ができたら、次は別の曲で試してみましょう。
例えば、コピーしたフレーズがC7からF7へ進むコード進行で使われていたとします。
その場合、ほかの曲で同じようなコード進行が出てきたときに、そのフレーズを当てはめて弾いてみます。
もちろん、すべてのコード進行にそのまま使えるわけではありません。
メロディーやコードの流れによって合う・合わないがあるので、実際に音を出しながら確かめていきます。
「このフレーズは、ほかの曲でも使えるかな?」
そんな気持ちで試してみると、コピーしたフレーズが少しずつ自分の音楽に近づいてきます。
⑤ 同じ音を使って、リズムを変えてみる

次は、フレーズのリズムを変えてみましょう。
音の並びをある程度保ちながら、リズムを変えて演奏してみます。
例えば、コピーしたフレーズが8分音符中心だったら、音の長さや休符の位置を変えてみる。
同じ音を使っていても、リズムが変わると印象が大きく変わります。
この練習を通して、コピーしたフレーズをそのまま再現するだけでなく、自分なりの表現へと広げていきます。

⑥ 同じリズムで、音の並びを変えてみる
今度は反対に、リズムを残して音を変えてみます。
コピーしたフレーズのリズムを使いながら、コードに合う別の音を入れてみましょう。
例えば、フレーズの音の動きや音程を変えてみることで、元のフレーズとは違う新しいフレーズが生まれます。
コードに対して使っている音がコピーしたのとは違います。テンションも多く入れてみました。

このように、
「同じ音でリズムを変える」
「同じリズムで音を変える」
という練習を繰り返すことで、ひとつのコピーから、さまざまなアイデアを生み出せるようになります。
ここまで練習したら、本番ではフレーズを忘れることが大切

ここまで、コピーしたフレーズを書き出し、移調し、分析し、ほかの曲に当てはめたり、リズムや音を変えたりする練習を紹介しました。
でも、最後にひとつ、大切なことがあります。
本番のジャズセッションでは、覚えたフレーズを無理に使おうとしないこと。
「ここはC7だから、あのコピーしたフレーズを入れよう!」
「次のコード進行で、あのフレーズを弾かなきゃ!」
このように、演奏中にフレーズを使うことばかり考えてしまうと、初心者のうちは音楽の流れを見失ってしまうことがあります。
セッションでは、ほかのメンバーの音を聴くこと、自分が今どんな音を出したいのかを感じること、そして音楽の流れに身をゆだねることも大切です。
だからこそ、練習中はしっかりとフレーズに向き合い、いろいろな方法で試してみる。
そして、本番ではそのフレーズを使おうと頑張りすぎず、自然に出てくるのを待つ。
そんな姿勢も大切なのではないでしょうか。
ジャズの練習は、人生にも少し似ている?

これは、私自身がジャズを学ぶ中で感じていることです。
一生懸命練習していると、「早くできるようになりたい」「もっと上手になりたい」と思いますよね。
でも、頑張ったからといって、すぐに結果が出るとは限りません。
コピーしたフレーズも、練習した直後に自由自在に使えるようになるわけではありません。
何度も弾いて、分析して、さまざまな曲で試してみる。
そうやって自分の中に蓄積されていくことで、ある日ふと、自然に音が出てくることがあります。
やるべきことをやったら、あとは焦らずに待つ。
これは、ジャズだけでなく、人生にも少し似ているような気がします。
努力することは大切。
でも、努力した結果をいつも自分でコントロールできるわけではありません。
だからこそ、できることを積み重ねたら、あとは音楽を信じてみる。
セッションでは、完璧にフレーズを使いこなそうとするよりも、目の前の音を楽しみ、仲間の音を聴き、自分の音を表現してみる。
そんな経験を重ねることが、少しずつ自分らしいジャズにつながっていくのかもしれません。
まとめ|耳コピーしたフレーズを、自分の音楽へ育てよう

耳コピーは、好きな演奏を再現するためだけの練習ではありません。
フレーズを分析し、さまざまなコード進行や曲で試してみることで、自分の音楽表現を広げるきっかけになります。
今回紹介した練習方法をまとめると、
- コピーしたフレーズを書き出す
- Cキーなどに移調する
- コード進行と音の関係を分析する
- ほかの曲の似たコード進行で試す
- 同じ音でリズムを変える
- 同じリズムで音を変える
そして、練習したあとは、本番で無理に使おうとしないこと。
コピーしたフレーズが、いつか自然と自分の中から出てくる日を楽しみにしながら、焦らず練習を続けていきましょう。
私もまだまだ勉強中です。
一緒にジャズを楽しみながら、自分らしい音楽を育てていきましょうね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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