こんにちは、ジャズ部のちーこです。ジャズ部ではジャズピアノ初心者がセッションで楽しめる方法を紹介しています
ジャズを演奏していると、「この曲は4ビートでいこう」「ここは2ビートにしよう」といった言葉を耳にすることがよくありますよね。でも、特にピアノを始めたばかりの方にとっては、「そもそも4ビートと2ビートって何?」「どう弾き分けるの?」という疑問があると思います。
今回はそんな疑問に答える形で、「4ビートと2ビートの違い」と「ピアノでの演奏のポイント」について分かりやすく解説していきます!
結論!
ジャズセッションで演奏される2ビートと4ビートについて下記にまとめました
特徴 | 4ビート | 2ビート |
---|---|---|
リズム感 | 4分音符で均等に進む | 1拍目と3拍目に重心 |
印象 | グルーヴィーでスウィング感あり | 軽やかで少し跳ねる感じ |
使われ方 | アドリブやテーマの中盤 | テーマの最初・エンディング・バラードなど |
ピアノの役割 | コンピングでリズムを支える | 空間を活かしながら色付け |
◆ そもそも4ビートと2ビートって?
「2ビート」「4ビート」の違いはアクセントの違いに注目すること。
「2ビート」は1拍目と3拍目にアクセント
「4ビート」4拍均等にアクセント
ベースの動きに注目
ドラムの動きはビートの大きな刻みと3連符を使った細かい動きも加わるので、初心者が聞き分けるのは少し難しいかもしれません

2ビートはブラシを使ったスネアから、4ビートはライドシンバルに切り替えてもらえたら分かりやすいですが、ブラシを使って4ビートを演奏することもあるので…。
分かりやすいのはベースの動きをみること。
-
2ビート:ベースが「ドン・ドン・ドン・ドン」ではなく「ドン・…・ドン・…」のように半分の頻度で刻んでいる
-
4ビート(ウォーキングベース):ベースが1拍に1音、計4音入るスタイル。一般的なスウィングの形といえます
さらに詳しく解説していきます
4ビートとは
4ビートは、その名の通り「1小節に4つのビート(拍)」を感じるスタイル。ジャズにおける王道のリズムで、特にスウィング感を出したい時に使われます。
ウォーキングベース(ベースが4分音符で歩くように進行)が鳴っている時です。ベースが4ビートでドラム2ビートを演奏するってのもあります。
一緒に4ビートを演奏したら下記のような感じになります

4ビートの基本的な特徴
ベースが4分音符でウォーキング
ベースは1小節に4つの音を均等に弾く「ウォーキングベース」が基本。ルート音だけでなく、スケールやコードトーンを活かして滑らかにラインを作ります。

リズムの感じが深くなる
1拍ごとの重みがあり、スウィング感がしっかりと伝わる。4ビートは「足でスウィングする」とも言われるほど、グルーヴの中に深く入り込めるリズムです。
ドラムのアプローチも変わる
ライドシンバルが主役となり、「チン・チキ・チン・チキ」のようなシンバルワークでスウィングを支える。スネアは2拍4拍でアクセントを付け、ハイハットは足で「チッ・チッ」と刻むのが定番。

よく使われる場面
-
スウィング・スタンダード全般
-
ジャムセッションやコンボ演奏のメインリズム
-
ソロ中やテーマ演奏時の土台として
-
ミディアム〜アップテンポのバップ系、モダンジャズなど
演奏者ごとの意識ポイント
ベーシスト:スムーズなラインでコード進行を支えつつ、テンポをリード。スケールやパッシングノートも使いながら流れを作る。
ドラマー:ライドのシンバルワークを中心に、スネアとハイハットでビートを安定させる。リズムを「押す」か「引く」かのニュアンスも重要。
ピアニスト/ギタリスト:コードのコンピングでリズムに色を加える。和音のボイシングや空間の使い方でサウンドの厚みを調整。
ソリスト:リズムセクションのグルーヴに乗って、スウィング感を保ちつつ自由にメロディーを展開。
2ビートとは
2ビートは「1小節に2つのビート(主に1拍目と3拍目)」を感じる演奏スタイル。
スウィングのテンポが速い時や、少し軽やかに演奏したいとき、もしくはイントロやエンディング、テーマの最初などに使われることが多いです。
ベースは1拍目と3拍目を中心に「ドン・ドン」と弾くため、リズムが軽く、少し跳ねるような印象になります。

2ビートの基本的な特徴
ベースが2分音符でウォーキング
通常の4ビートではベースが1小節に4つの音(ウォーキングベース)を弾きますが、2ビートでは1小節に2つ、つまり1拍目と3拍目を中心に弾きます。
リズムの感じが軽くなる
よりスウィングの感じが控えめで、軽やかな、時には少しマーチっぽいノリになることもあります。
ドラムのアプローチも変わる
ジャズの2ビートはブラシでスネアを円を描くようにドラミングすることが多いです。

よく使われる場面
-
バラードの導入部や静かなテーマ部分
-
トラディショナルジャズやディキシー系
-
曲のイントロやアウトロでの変化
-
アンサンブルが大人数で“間”を大事にしたいとき
演奏者ごとの意識ポイント
-
ベーシスト:2拍の安定感を出す。コードのルートや5度中心でシンプルに。
-
ドラマー:ハイハットの「チッ・チッ」を意識し、過度に煽らずにスウィング感をキープ。
-
ピアニスト/ギタリスト:コードの刻みは控えめに、リズムの隙間を意識。
-
ソリスト:リズムの間を活かしつつ、流れるようなラインでスウィング感をキープ。
ジャズセッションではビートが切り替わることが多い
ジャズセッションでは2ビートから4ビート、4ビートから2ビートにビートが切り替わることが多いです
テーマを演奏する時は2ビートでアドリブに入ってから4ビートに切り替わる曲が多いです
ビートが切り替わるスタンダード曲
ジャズスタンダートの多くが4ビートで演奏されますが、下記が2ビートで演奏したり、4ビートや2ビートと4ビートを切り替えたりして演奏する曲です
曲名 | 作曲者 | コメント |
---|---|---|
All of Me | Gerald Marks, Seymour Simons | テンポ次第で2ビートにもスウィングにも |
There Will Never Be Another You | Harry Warren | Aセクションで2ビート、Bでウォーキングなど変化も可 |
On the Sunny Side of the Street | Jimmy McHugh | 軽快な2ビートでよく演奏される |
Bye Bye Blackbird |
Ray Henderson | テンポ次第で2ビートにもスウィングにも |
When the Saints Go Marching In | Traditional | 伝統的なニューオーリンズ・スタイルでの2ビートの代表格 |
Blue Moon | Richard Rodgers | ゆったりしたテンポの2ビートで演奏されることが多い |
ドラムが4ビートでベースが2ビートもあり!?
少しややこしくなりますが、ジャズのアンサンブルにおいて、みんなが2ビート、4ビートなど同じビートで演奏しなくてもよいこともあります
名演などではベーシストが2ビートの中、ドラマーが4ビートを刻んでいることもあります

ちーこはまだまだ聞き分けられませんがプロのサックスプレーヤーの方に教えてもらいました
◆ ピアノでの演奏のポイント

次にセッションでピアノで参加する時の演奏のポイントをまとめます
4ビートを弾くときのポイント

- リズムセクションとの一体感を意識しよう
ベースが4分音符でウォーキングしている場合、ピアノの左手は“全部の拍を埋めよう”とせず、隙間を活かしてコードを入れるのがコツ。
→「裏拍」や「2拍目・4拍目」をうまく狙うとジャジーな雰囲気が出ます。 - コンピングにバリエーションを
同じリズムの繰り返しはNG。スタッカート、レガート、間の取り方などを意識して、「会話する」ようなアプローチをしましょう。 - 右手は流れるように
アドリブでは、4ビートに乗って“フレーズが泳ぐように”流れる感じが理想。スウィングのノリを感じて、前に進むエネルギーをキープ!
2ビートを弾くときのポイント
- “間”を大事に
ビートが少ない分、空白が増えます。ピアノはその空間を埋めるより、「活かす」ことを考えましょう。コードを入れすぎず、1拍目や3拍目にポイントを置いた演奏を。 - 軽やかさを意識
リズムが重くならないように、ペダルの使い方やタッチに注意。スタッカートや軽いアタックで、リズムの「跳ねる感じ」をサポートすると◎ - メロディとのバランス
ソロピアノの場合は、左手を2拍ごとのルート音+コードにすることで、ベースラインを作りつつも2ビートの雰囲気を出せます。
イントロ
イントロの出し方でその曲が2ビートなのか4ビートで演奏するのか決めることになります。
2ビートの時のイントロのポイントは1,3拍目に音を入れ、2、4拍目に音を開ける
4ビートの時は得に2拍目と4拍目の裏を感じながらイントロを演奏します
ビートが切り替わるスタンダード曲
ジャズスタンダートの多くが4ビートで演奏されますが、下記が2ビートで演奏したり、4ビートや2ビートと4ビートを切り替えたりして演奏する曲です
2ビートや4ビートについて学べる参考動画
ジャズを上達させるのは聴くことが大切ですが、ジャズって1曲が5分以上のもの多く、聞くのが大変ですよね。
しかしビートについて学ぶと聴くのが面白くなります
ここではビートについて学べる参考サイトや動画などを紹介します
聞き方のポイント
名演では何度もビートを変化したり、楽器によってそれぞれのビートを刻んでいたり、ソロに合わせてビートを変えたり変えなかったり。
演奏者がどんな気持ちで演奏しているのか考えながら聞いてみると5分なんてあっという間に経ってしまいます
ジャズドラマー黒田さんのyoutube
ドラマー向けですが、2ビートと4ビートでドラムのハイハット位置の違いについて分かりやすく解説されています
ピアノばかりに耳がいきがちになりますが、演奏する時は他の楽器の音を聴くことが大切。ベースとドラムについて理解する上でも素晴らしい動画なので是非見てみてください。
OTO×NOMAさんのサイト
OTO×NOMAさんの
「基本ビートその③:ジャズの土台となる「4ビート」「2ビート」を理解しよう!」
では初心者では聞き取りにくいドラムの2ビート・4ビートの違いについて音源付きで解説しておりとってもわかりやすいです

Wynton Marsalis Quintet – “Second Line (Joe Avery’s Blues)”
ニューオーリンズの伝統的な2ビートのリズムを現代的に再解釈した演奏です。Wynton Marsalisは、2ビートのグルーヴについての解説も行っており、彼の演奏はその実践例として非常に参考になります。wyntonmarsalis.org+1YouTube+1
◆ まとめ
ジャズピアノでは、同じ曲でも「今どんなビートで演奏するか」で雰囲気がガラッと変わります。2ビート→4ビートへ、またその逆も、曲の中で切り替えることもよくあるテクニック。
まずは曲をたくさん聴いて、「これは2ビートだな」「これは4ビートだ」と感覚的に捉えられるようになると、自然と演奏にも深みが出てくるかもしれません
最後までご覧いただきありがとうございました
コメント