こんにちは!ジャズ部のちーこですジャズ部ではジャズピアノでセッションに参加して楽しめるようになる方法を紹介しています。
- ジャズってどんな歴史があるの?
- ジャズピアノを練習するモチベーションが上がらない
ジャズには長い歴史がありますがセッションで演奏されるのはほんの一部のスタイルです。これを知っておくだけでもどの音源を聴けばよいのか分かります。また歴史を知るとこでモチベーションがあがり、ジャズピアノの勉強がはかどりますよ!
今回は初心者が知っておきたい最低限のジャズの歴史を簡単にまとめ、セッションを楽しめるため活かす方法を紹介します。この記事を読んでジャズピアノの練習を頑張りましょう!
あくまでセッションを楽しめるためのツールとしてのジャズの歴史の学び方です。間違っている場合は優しくご指摘いただけますと幸いです
結論!歴史を学ぶとセッションがより楽しくなる
ジャズの歴史を学ぶことで
- 曲の共通認識を知れる
- 自分がなりたいスタイルで教えてもらえる
- コンピングの位置、ボイシングの音、アドリブの耳コピーを挫折せずにできる
ようになります
結果的にジャズセッションが楽しくなるのです。
ジャズの歴史を学ぶ
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歴史は専門書できちんと学んでほしいのですが、
一応ジャズの歴史についてまとめておきます
昔大学の課題でまとめたレポートを少し内容を書き換えたものになります。ざっくりと歴史の流れを読む参考になれば幸いです
ジャズの歴史とその魅力について
ポピュラー音楽はジャズに根ざしているという言葉をよく耳にします。私自身、ジャズというジャンルの音楽を聴かないと専攻しているポピュラー音楽の課題をこなせず、試しに聴いてみたのが始まりでした。そのうち、ジャズの魅力にどっぷりとハマり、この音楽が生み出す独特の世界観に惹かれていきました。今回は、ジャズの誕生の歴史から、その魅力について考察します。
ジャズのルーツ – ブルースからの進化
ジャズのルーツはブルースにあると言われています。ブルースは、黒人奴隷たちが歌った労働歌に起源を持つ音楽です。15世紀後半の大航海時代、ヨーロッパ人がアフリカの黒人を「発見」し、多くの黒人が奴隷として各国に連れて行かれました。北アメリカでも農場での厳しい労働の中、彼らは労働歌を歌いながら互いを励まし合いました。この労働歌が後のブルースへと発展し、ジャズの基盤となったのです。
ブルースの特徴の一つは、コールアンドレスポンスという形式です。一人が呼びかけ、別の人がそれに応答する形で歌われるこの形式は、後に生まれるジャズにも息づいています。1861年に始まった南北戦争で北部が勝利し、1865年に奴隷制度が廃止されましたが、南部では黒人差別がさらに悪化しました。この状況下、多くの黒人が仕事を求めてアメリカ中をさまよい、音楽文化も広がっていきました。
ニューオーリンズ—ジャズ誕生の地
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ジャズが生まれたのはアメリカ南部のニューオーリンズでした。この地には、フランス人と黒人奴隷との間に生まれた混血の人々、クレオールが存在しました。南北戦争以前、クレオールは黒人とは異なる特権的な立場にあり、クラシック音楽を学び、白人と同等の教育を受けていました。しかし、戦争後には彼らも黒人と同様の差別を受けるようになり、黒人たちと音楽や文化を共有する中でジャズが生まれたのです。
ニューオーリンズは当時、さまざまな音楽があふれる街でした。シンコペーションのリズムが特徴的なラグタイム、スピリチュアル、ブルースなどが融合し、ジャズという新しい音楽ジャンルが誕生しました。これらの音楽が織りなすエネルギーは、怒りや苦しみ、喜びといった感情を音に乗せることで形となり、世界中で愛される音楽として発展していきました。
ジャズのスタイルと進化
ジャズは時代とともに多様なスタイルへと進化していきます。
スウィングジャズ
1930年代、白人のダンス文化を背景にスウィングジャズが流行しました。大規模なバンドによる軽快なリズムが特徴で、多くの人々に親しまれました。
ビバップ
1940年代になると、スウィングジャズへの反発から即興性を重視したビバップが登場します。少人数の編成で、複雑なコード進行を伴う即興演奏が主流となり、ジャズの技術的な深さを象徴するスタイルとなりました。
モードジャズ
マイルス・デイビスは、コード進行に依存しないモードジャズという新たなスタイルを確立しました。モード(旋法)を用いるこの手法では、演奏者が自由に音を選んで演奏できるため、無限の創造性が求められます。その自由さが逆に難しさでもあり、ジャズの奥深さを感じさせます。
フリージャズ
1960年代には、ジョン・コルトレーンのようなアーティストがフリージャズを開拓しました。このスタイルでは、メロディやコード進行にとらわれず、演奏者の感情そのものが音として表現されます。コルトレーンの『マイ・フェイバリット・シングス』を聴くと、このスタイルの自由さと生々しさが感じられるでしょう。不協和音のように聞こえる音が時に調和する瞬間は、人間関係そのものを思わせます。
ジャズの魅力—人間の感情と人生の音楽
ジャズが誕生した背景には、歴史的な苦難がありました。奴隷制度や差別という悲しい歴史を経て生まれた音楽には、人間の苦しみや喜び、希望といった感情が込められています。だからこそ、聴く人々はその音楽に人生を重ね、共感し、心を動かされるのです。
また、ジャズはその多様性ゆえに、さまざまな国の音楽にも影響を与えています。ジャズが教えてくれるのは、人生にはいろいろな形があり、それぞれが大切であるということです。いろいろな音楽があり、いろいろな人々がそれぞれの性格や環境の中で生きている—それを認め合うことが、ジャズの精神なのかもしれません。
ジャズの年表
ジャズの年表をジャズやその他の音楽や歴史とともにまとめました。
年代 | ジャズ | その他の音楽 | 歴史 |
---|---|---|---|
1900年代 | ・ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)誕生(1901年) ・ラグタイムやブルースがジャズの基盤を形成。 ・初のジャズ録音とされる「Original Dixieland Jass Band」のレコードがリリース。 |
・クラシック音楽では印象主義(ドビュッシー、ラヴェルなど)や表現主義(シェーンベルクなど)が登場。 ・バレエ音楽でストラヴィンスキーが注目。『春の祭典』(1913年) |
・第一次世界大戦が勃発。ヨーロッパを中心に約4年間続く。(1914年~1918年) ・アルバート・アインシュタインが特殊相対性理論を発表(1905年)。 ・スペイン風邪パンデミック (1918-1919年) ・日露戦争が開始(1904年) ・大正デモクラシーの時代 ・ロシア革命が起こり、ロマノフ朝が崩壊。ソビエト連邦の誕生へ。(1917年) |
1920年代 | ・スピークイージー(非合法バー)でジャズが流行。 ・ジョージ・ガーシュウィンが「ラプソディ・イン・ブルー」を発表。(1924年) ・世界初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』公開。(1927年) |
・カントリーミュージックが地方で根付き、ラジオを広めた。 |
・世界大恐慌(ウォール街の株価暴落が発端となり、世界的な経済危機)(1929年~) ・禁酒法施行。(1920~1933年) ・国際連盟(現在の国際連合の前身)が設立。(1920年) |
1930年代 | スウィング時代 ・ベニー・グッドマンが「スウィングの王様」として人気を博す。 ・チャーリー・パーカーがプロとして活動開始。(1939年) |
・黒人コミュニティでブルースが普及し、ロバート・ジョンソンのようなアーティストが登場。 | ・第二次世界大戦が勃発。ナチスドイツ、日本、イタリアの枢軸国と連合国の間での戦争。(1939年~1945年) |
1940年代 | ビバップ時代 ニューヨークでモダンジャズ(ビバップ)が発展(ディジー・ガレスピー、セロニアス・モンクなど活躍)。 |
・ラジオ放送やレコードが普及し、音楽が家庭や公共の場で手軽に楽しめました。 | ・第二次世界大戦が終結。日本の広島と長崎に原爆投下。国際連合が設立される。(1945年) ・中華人民共和国が成立。(1949年) |
1950年代 | クールジャズ、ハードバップ時代 ・マイルス・デイヴィスの「クールの誕生」リリース(1954年) |
・エルヴィス・プレスリーやチャック・ベリーが登場し、ロックンロールが爆発的に。 ・黒人音楽(リズム・アンド・ブルース)が白人社会にも浸透。 ・クラシック音楽ではジョン・ケージなどの実験的な作曲家が新しいスタイルを発表 |
・朝鮮戦争が勃発。北朝鮮と韓国の間で戦闘が行われる。(1950~1953年) ・ソ連が人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げ、宇宙開発競争が始まる。(1957年) ・ベトナム戦争勃発(1955年~1975年) |
1960年代 | フリージャズ、多様性の時代 ・ジョン・コルトレーン『A Love Supreme』リリース(1954年) ・マイルス・デイヴィス『Bitches Brew』でエレクトリックジャズの時代へ。 |
ロックの多様化 ・ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックスなどが登場。 ・サイケデリック・ロックやフォーク・ロックが登場。 ・ソウルミュージックが黒人文化の象徴として台頭。 ・ボブ・ディランやジョーン・バエズのようなフォーク歌手が反戦や公民権運動を支援。 |
・アメリカのアポロ11号が月面着陸成功(人類初の月面歩行)。(1969年) ・ディスコ文化と共存するジャズフュージョンが人気。 ・ダンスミュージックが主流。 ・東京オリンピック開催。(1964年) ・ジョン・F・ケネディ暗殺(1963年) ・キング牧師暗殺(1968年) |
1970年代 | フュージョン時代 ・ジャズとロック、ファンクの融合が進む。 ・ジャズ喫茶文化が満盛(日本) |
・プログレッシブ・ロック(ピンク・フロイド、イエス)やハードロック(レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル)、 パンクロック(セックス・ピストルズ、ラモーンズ)が登場。 ・ニューヨークのブロンクス地区でヒップホップが誕生。DJ、ラップ、ブレイクダンスなどこの文化を形成。 |
・第一次オイルショック。石油価格が高騰し、世界経済に影響を与える。(1973年) ・ベトナム戦争が終結。(1975年) |
1980年代 | ネオクラシカルと再評価 ・伝統的なジャズスタイルが復興(ウィントン・マルサリス)。 ・上原ひろみ、渡辺貞夫などの世界的なアーティストが活躍。 |
・MTVの登場により、音楽ビデオが普及。マイケル・ジャクソン(『スリラー』)、マドンナ、プリンスなどのスターが世界的に活躍。 ・シンセサイザーを使った音楽(デペッシュ・モード、ニュー・ テクノやハウスミュージックなどのダンスミュージックの誕生。 |
・ジョン・レノン銃射殺事件(1980年) ・ベルリンの壁が崩壊。冷戦終結の象徴的出来事。(1989年) |
1990年~2000年代 | ・ジャズがクロスジャンルで進化し、ヒップホップとポップと融合。 ・ジャズフェスティバルが全国で定着(東京ジャズなど)。 |
ヒップホップの黄金時代 ・2パック(トゥパック)やノートリアスBIGが活躍し、東海岸と西海岸の対立が音楽シーンを象徴。 ・ヒップホップがポップ文化の主流に。 ・スパイス・ガールズ、バックストリート・ボーイズ、ブリトニー・スピアーズがジュニア世代のアイコンに。 ・プロディジーやケミカル・ブラザーズなどブレイクし、エレクトロニカやトランスが普及。 |
・湾岸戦争が勃発。イラクがクウェート侵攻により国際的な軍事介入が行われる。(1990~1991年) ・ソ連が崩壊し、冷戦が正式に終結。(1991年) ・イギリスのダイアナ妃が交通事故で死亡。世界中で大きな悲しみを呼ぶ。(1997年) ・ユーロ(欧州連合の共通通貨)が導入される。(1999年) ・アメリカ同時多発テロ事件(9.11)が発生。。(2001年) ・イラク戦争が勃発。(2003年) ・世界金融危機(リーマンショック)が発生。(2008年) ・アメリカで初のアフリカ系大統領、バラク・オバマが就任。(2009年) |
セッションではハード・バップのスタイルが多い
ニューオーリンズのマーチングバンドから始まったジャズですが、ざっくりとこんな感じで流行のスタイルがあります
- 1930年台後半ごろ スウィング(ダンスのための音楽)
- 1940年台後半ごろ ビ・バップ(即興性の強い音楽)
- 1950年台後半ごろ ハード・バップ(メロディアスな旋律の音楽)
- 1960年台後半ごろ フリージャズ(なんでもあり!?)
マイルス・デイビスの『ウォーキン』 あたりからハード・バップと呼ばれるスタイルがジャズのセッションで演奏されるスタイルになってきました
ビ・バップだと勢いにまかせて技の見せ合いのように演奏されることが多かったのですが、ハード・バップでは録音しても繰り返しに堪えれるメロディアスな旋律の音楽になりました
ハード・バップはマイルスデイビスが築き上げたスタイルと言われています。マイルス・デイビスは初期から後期まで活躍したジャズ界の巨匠であり、彼の音楽を聴いておけば歴史が理解できるとよく言われています
共通認識として演奏スタイルを理解しておくとセッションがさらに楽しめる
ジャズセッションはその場に集まった人たちがいきなり演奏をして、曲を完成させていきます
その時に大切なのが曲の共通認識
イントロやエンディング、曲の速さなどセッションでは演奏されるパターンが決まっているものも多くあります
過去の名演から影響されていることが多いので、この曲といえばこれでしょうというものを聴いておくのが大切です
自分のなりたいスタイルを見つけ、近づくために歴史を学ぶ
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歴史書の多くはその時代のおすすめの音源を紹介しているのでそれを聴いてみて自分がやりたいスタイルを探すのもおすすめ。フリージャズなのか、ビッグバンドなのかで練習する方法が多少変わります
また同じミュージシャンでも時期によって演奏のスタイルが違います。初心者のうちはどの時期のだれのスタイルを演奏できるようになりたいってことが明確にしておくことがおすすめ。
なりたい自分のスタイルを知るということはジャズを教えてもらうときに、伝わりやすいので効率良く教えてもらうことができます
習うときに伝わりやすい
ジャズピアノを習うときに大切なのは、どういう風な演奏ができるようになりたいかをきちんと伝えること。
ジャズピアノでもビックバンド、デキシー、ビ・バップ、ハード・バップ、ラグタイムなどいろいろなスタイルがあるからです
歴史を勉強しているとこういったスタイルでこの曲を弾きたいというのが伝わりやすいのです
この時期の○○風に演奏したいと伝える
ジャズセッションではビ・バップ以降のハード・バップと呼ばれるスタイルで演奏されることが多いです
その中でも演奏者によってコンピングやボイシングのスタイルが違うので、この時期の○○風に演奏したいと伝えると教える方もわかりやすいです
モチベーション上げて挫折しない
ジャズ上達には耳コピーが一番だと思っています
でも初心者の時に耳コピーをするのって大変ですよね
ジャズの歴史を通してアーティストたちの歴史的背景や性格、素行を知ってモチベーションを上げると挫折しにくくなります
またどのミュージシャンが誰にどう影響されたのかを知るとさらにジャズが楽しくなり、名演奏の理解も深まり、さらに耳コピーする時にも役立ちます
過去の苦労話を知ってモチベショーン上げる
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歴史上の人物の苦労話を知ったらモチベーションあがりませんか?ジャズの巨匠たちはきらびやかな時代もありますが、苦労していた時代もあるのです
マイルス・デイビスはチャーリー・パーカーにあこがれており、同居していた期間もあるようです。
しかし体系や技術によりパーカーのように演奏できないため、録音して何度も聴き返しても飽きないメロディアスな音楽をつくるようになったとか。
ジョン・コルトレーンはマイルスのバンドで演奏していたとき、観客からマイルスに下手だから演奏を辞めさせるように言われたことがあるとか。
バド・パウエルとセロニアス・モンクは師弟関係でバド・パウエルはよくモンクの曲をコピーしていたとか。モンクはバド・パウエルをかばったために演奏活動できなくなったとか。
ビル・エバンスは大切な人の死に直面することが多かったり、差別をうけたりと意外と苦労人だとか。
アーティストの時代背景や置かれている環境から何を考えて録音に臨んだのか、そんなことを考えながら名演をコピーすると、また違った感覚で音楽を吸収できるのではないかと思います
巨匠たちのことが分かる!おすすめの本
『快楽ジャズ通信』というラジオ番組を持たれていた高野雲さんの書籍『ビジネスマンのための(こっそり)ジャズ入門』がおすすめ。
ジャズの巨匠たちをビジネスマンに例えて紹介しているので、人物像を一発で理解できます
例え方が絶妙なので、それぞれのキャッチコピーを見るだけでも面白いですよ
ジャズジャイアンツはクラシックを学んでいる
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ジャズジャイアンツと呼ばれる、歴史上活躍したジャズミュージシャンの多くが、幼少期にクラッシックピアノを弾いていたり、西洋音楽理論を学んでいることが多いのです
最初はリズムやノリが難しいと感じて自分が下手に感じるかもしれませんが、クラッシックピアノをしっかり学んできた自分はラッキーだと思えば、モチベーション上がります
まとめ
今回はジャズの歴史の学び方について紹介しました
ジャズピアノ初心者ってやることが多いのですが、モチベーションを上げるためにも歴史の勉強はおすすめ。ざっくりとでもいいので一度歴史書を読んで、アーティストの素行や性格を知ってコピーしてみてください。
違った感覚で耳に入ってくるようになると思います
最後までご覧いただきありがとうございました
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